漆絵(うるしえ)
漆を用いて描いた絵、特に何色かの*彩漆で描いたものを彩漆絵ともいう。古くは楽朗郡趾より発掘された、中国漢代の三色の漆絵があり、わが国では法隆寺の*玉虫厨子が最古の漆絵として知られる。しかし彩漆が黒、朱、黄、緑など数色に限られ、その上乾燥するに従って漆液が暗褐色になり鮮やかな色彩が得られないこともあって、その後は金銀粉を用いた華麗な*蒔絵の方が盛んになり、漆絵は衰退した。しかし桃山時代になると再び彩漆絵がおこり、江戸初期には地方産の日用器などに用いられた。また幕末から明治にかけては*柴田是真が漆絵を得意とし、明治末期からは鮮やかな発色で、豊富な色数の彩漆が得られるようになった。