津軽塗(つがるぬり)
青森県弘前市産の漆器、あるいは特に唐塗と称される*変塗をも指す。*素地はヒバを用い、盆、善、硯箱、座卓などの製品がある。唐塗の手法は、まず*仕掛けとよばれる先に多くの穴をあけた*篦に、*彩漆に卵白を混合した*絞漆をつけて、斑点をつけ凹凸の塗面を作る。これに彩漆と*透漆を交互に塗り重ね、数回研ぎ出して色層を表わしたものである。荒研ぎには*津軽砥を用い、また彩漆と彩漆の間に透漆を塗る工程は津軽塗独特の方法である。津軽塗は貞享・元禄(一六八四ー一七〇四)頃に*池田源兵衛、*源太朗親子が江戸に赴いて髹技を学び、藩に持ち帰ったのが初めとされる。また唐塗の技法はたまたま源太朗が定盤を研いだときに、長年使用して付着していた彩漆が斑文となって現われ、それをヒントにして考案したものといわれる。なお津軽塗には唐塗のほか、*七子塗、*綿塗、*紋紗塗などの変塗もある。