手箱(てばこ)
*櫛や鏡などの化粧道具を納めるのに用いた道具箱。*唐櫛笥が和風化したものと思われ、合口造りで中に*懸子が組込まれたものが多い。当時から貴重な物として扱われたようで、現存する蒔絵の名品には手箱が多く、ことに平安・鎌倉時代の手箱がよく遺されている。平安時代の手箱は多く*蒔絵、*螺鈿で装飾されており、代表作に「*片輪車螺鈿蒔絵手箱」がある。鎌倉時代の手箱には「*秋野鹿蒔絵手箱」「*住江蒔絵手箱」「*橘蒔絵手箱」「*蝶牡丹蒔絵螺鈿手箱」「檜扇紋蒔絵手箱」などがある。また三島大社の「*梅蒔絵手箱」や室町時代の熊野速玉大社の「椰蒔絵手箱」は、その内容品もほぼ完全に遺って伝わっている。