写真蒔絵(しゃしんまきえ)
写真乾板を応用して、漆器面に写真乾板の濃淡に等しい金色と黒色の印画を表わしたもの。まず漆器面に特殊な感光液を塗布し、乾燥後に写真乾板をその上に当てて直射日光で感光させる。写真乾板の濃淡に比例して感光度に強弱ができるが、次にこれを多量の水分を有する空気中に放置する。感光度の強弱に比例して水分を吸収し、それに応じて粘度差ができる。そこでこれに金粉を蒔くと粘度差によって金粉の付着量が違い、最初の写真乾板の濃淡に比例した金色と黒色の印画が生じるという訳である。ただしこの方法では表面が水に溶解するので、食器などには応用できず、水に触れることのない漆器のみに適用される。