桜井漆器(さくらいしっき)
愛媛県今明治市桜井町より産する漆器。文化年間(一八〇四ー一八)に桜井村の月原紋三郎と西条町の漆師によって始められたといわれ、あるいは天保・弘化年間(一八三〇ー四八)ともいわれる。その後一時衰退したが、明治年間になって明治十一年輪島より沈金師が移住し、また同十五年には山中町より挽物師と塗師が、同十六年には黒江より蒔絵師、塗師、*木地師が、そして同四十二年には会津より蒔絵師が来て再興し、今日に至った。したがって各地の技法を採り入れているのであまり特色がないが、*板物素地類は黒江に、丸物素地は山中に、板物の塗は黒江と輪島に、蒔絵は会津と黒江に範を置いている。ただし、唯一の特産として、ヒノキ材を用いて四方を細かく櫛歯状に組んだ*櫛指重がある。