卵殻塗(らんかくぬり)
卵殻を割って漆器の全面あるいは一部に付着させる*変塗。全面に付着させる場合は、まずつき立ての餅に*渋を混合した特殊な糊を*素地に塗る。次に内部の薄皮を取り除いて洗った卵殻を適当の大きさに割って表面を上にしてつけ、鉄篦で軽く叩いて罅を作りながらうまく継ぎ合わせていく。糊が乾いたら罅の隙間に*蠟色漆を塗り込み、*砥石と炭で研ぎ、油砥の粉で*胴擦りして、*摺漆、角粉磨きで仕上げる。模様など部分的に用いるときは、二つの方法がある。一つは全面に卵殻を施したあと模様の部分だけ上に漆を塗り、乾燥後弱酸をかけると卵殻は腐蝕して模様だけ残り、あと水洗いをして漆を塗って研出し*蠟色仕上げにする。もう一つの方法は一度和紙に卵殻を貼って罅を作り、模様以外の部分を切り落としてから漆器面に付着した和紙を取り去り、あとは罅に*錆をつけて全面の場合と同様に仕上げる。