楽浪漆器(らくろうしっき)
大正年間に朝鮮平壌付近の楽浪郡の遺跡から発掘された多量の漆器。楽浪郡は当時の漢代の植民地である。漆器の種類は杯、盤、勺、壷などの飲食用具、鏡奩、櫛、筓、沓などの化粧用具や服飾用具、硯台、案、枕、机、燭台などの調度類、および車輪や木馬の断片などである。*素地は*乾漆をはじめ、*藍胎、木材、金属、皮製などがある。装飾は赤、黄、緑の*彩漆によるものが多く、金銀*平脱、*螺鈿などの技法も見られる。これらは中国漢代の漆芸技術を知る貴重な資料であると共に、わが国の正倉院御物との比較などから、わが国の漆芸の輸入経路や発達の状態を知る上の大きな手がかりでもある。