URUSHI DICTIONARY
室町時代。被せ蓋造りで削ぎ面がある硯箱。『続後撰和歌集』の「なをてらせ代々にかはらず男山仰ぐ峰よりいづる月影」に因んだ意匠で、表面には松や樹木のある山を重ねて山裾に岩石を配し、平地には野菊や桔梗などの秋草を*高蒔絵で表わしている。山の部分に*肉合研出蒔絵の技法が見られ、側面には「なを、代々、かはらず、男」の九字を錫で嵌装するなど当時としては新しい技法を各種用いており、蒔絵技術の研究上貴重な作品である。東京国立博物館蔵。