なやし
*荒味漆のゴミを濾過し、攪拌して質を均一にすること。なやしの目的は塗面に刷毛目が残らないで、光沢と肉付けを与えるためである。このなやしと、余分な水分を取り除く*くろめの二つを行って、漆は精製される。昔はゴミを濾過した漆を桶に入れて斜めに立てかけ、天日に当てながら長い篦でかき廻してなやしとくろめの両方を同時に行っていたが、今日ではなやしは電動の攪拌機を使用して行う。なやしに要する時間は、光沢の度合などによっても異なるが、普通は二〜五時間である。また特に強い光沢を要する。塗立漆などで、一度のなやしでよい光沢が得られないときは、さらに水を混合して再びなやしを行うとよい。これを*くろめ返しという。