紅葉塗(もみじぬり)
漆面に楓風模様を表わした*変塗。*橋本市蔵の考案した方法と、清野如珉の考案した方法がある。前者はまず軟かくした楓葉に、*透漆に朱、*石黄などの顔料を多量に加えて堅練りした*彩漆を、紅葉塗用の篦でつけ任意の個所に付着する。その後は漆の乾くまで折々楓葉に水分を補給して絶えず湿潤にし、収縮を防ぐ。漆が完全に乾固したら葉を取り去り、葉の外にはみ出した漆は小刀で削り取る。清野如珉の考案した方法は、まず楓葉に薄い*錫金貝を当ててこすり、葉脈と輪郭の雌型を作る。次にその内面に彩漆で紅葉色に彩色し、乾いたら凹部に薄く*錆をつけて平らにして、*糊漆で漆器面に密着させる。乾燥後に表面の錫金貝に水銀を塗るとアマルガムとなって剥がれ、鮮明な紅葉塗になる。なおどちらの場合も最後に朱漆で葉柄を描く。またもっと簡単に直接楓葉に彩漆を塗って中塗研立面に当て、こすって葉形を転写させてその上に透漆を塗り研出して*蠟色仕上げにする方法もある。