木材素地(もくざいきじ)
木地は漆器の*素地として古くから最も多く用いられてきたものである。その理由としてはごく身近にあって供給が容易でかつ廉価である、加工が簡単で円形、方形など種々の形が得られる、どのような*下地にも適し漆液ののりもよいなどが考えられる。ただし大きな欠点として、木材の含有水分の乾燥によって、収縮して反りなどの狂いを生じやすいということがある。これは木材をよく乾燥させてから使ったり、*髹漆法で補ったりして防いでいるが、ことに風土を全く異にする輸出漆器などにおいては十分注意を要する。なお木材素地などにおいては十分注意を要する。なお木材素地は工作法によって*板物素地(*指物)、*曲物素地、挽物素地、刳物素地などに分けられ、板物には檜や針葉樹、挽物には欅、桜、朴などが用いられる。また下地法によっても材質が選ばれ、*渋下地には材質の密な栃、朴、桂、ブナ、*膠下地には杉、松、檜、*漆下地には檜、アテ、ヒバ、欅、そして木理を表わす*木地蠟塗には欅、セン、シオジ、栗などが適用される。