密陀絵(みつだえ)
*桐油に*密陀僧(一酸化鉛)を加えて煮沸して速乾性とした油に絵の具を混合し、これで文様を描いた一種の油絵。のち密陀漆、陰光漆とも称された。漆よりも発色が自由で、白色や各種の鮮明な色が得られるため、*彩漆の代用として漆芸品にも多く用いられた。中国では古く唐代より行われ、わが国でも正倉院の宝庫に密陀僧絵箱、密陀僧彩絵箱、密陀絵盆など多数あり、さらに桃山時代から江戸初期にかけても流行した。なおこの密陀絵と*漆絵とは判別が難しく、*玉虫厨子装飾画などにおいて両方の説があったが、今日では紫外線の照射による反応が判別規準となっている。すなわち紫外線を照射した場合、密陀絵は螢光を発するのに対し、漆絵にはそれがないという違いによる。これにより玉虫厨子装飾画は漆絵とされている。