久留米漆器(くるめしっき)
福岡県久留米市産の漆器。竹の編目を利用して一種の文様とした*藍胎漆器で知られる。これは*上塗のあとの炭研ぎの際に、編目の一個ずつを中心にして、編目の稜角と*下塗、*中塗、上塗の*彩漆を同時に研出し断層を作って文様としたものである。製品は盆類が主で、膳や椀、菓子器、文庫、箱、棚などにまで応用されている。また藍胎漆器の技法を陶器の外部に応用した久留米塗や、大理石に応用した赤松塗がある。久留米の漆器は、明和年間(一七六四ー七二)にすでに藩のお抱え塗師によって作られていたといわれる。明治二年には京都の漆工勝月平兵衛を招いて堅地漆器を行い、明治十八年川崎峰次郎はこの堅地漆器の*髹漆法を藍胎に応用して藍胎漆器を考案した。以後改良が加えられて発達し、応用範囲も拡張されて今日に至った。