くろめ
漆の精製において、余分な水分を取り除くこと。これは精製後の漆に着色剤や乾燥剤を混入しやすくするために行われるものである。古くはゴミを濾過した漆を桶に入れて斜めに立てかけ、天日や炭火であたためながら長い篦でかき廻してくろめと*なやしを一緒に行ったが、今日市販されている*精製漆は、電熱を用いてくろめを行っている。ただし現在でも漆芸家の一部では、毎日その日の使用分を小さな桶に入れ、昔ながらの方法で精製している。なおくろめの工程で大切なことは温度の調節で、四〇〜四五℃の範囲内に保たなければいけない。六〇℃を過ぎると漆内の*ラッカーゼが殺されて乾燥不能の漆になり、逆に低いと水分の蒸発が遅くて粘稠の漆になる。