熊本漆器(くまもとしっき)
熊本市より産する漆器。特に竹材の曲物漆器で知られ、製品は*素地の性質上もっぱら飯器である。塗は*黒塗や*溜塗などの*花塗がほとんどであるが、熊本市立工芸研究所で考案された*錫金貝の塩酸腐蝕法による*銀絵と*彩漆を配合したものなどもある。明治以前の漆工としては細川候の調度を製作した富岡仲平や牧杢七が知られる。明治三十四年には市外の本山村に飽託郡立工業徒第学校が設立されて漆工科が置かれ、明治四十四年に熊本市立工業徒第学校ができるとこれに合併した。大正十年には熊本市立商工学校と改称され、さらに昭和二年にはその敷地内に熊本市立工芸研究所が親設された。