高台寺蒔絵(こうだいじまきえ)
京都東山にある高台寺の霊屋の内陣の*蒔絵と、同寺に所蔵されている調度品の蒔絵、および同系統の品を含めた名称で、桃山時代の蒔絵の代表とされる。三十点に及ぶ調度品は豊臣秀吉とその夫人北政所の愛用品といわれる。技術的には*高蒔絵もあるが、*平蒔絵が中心となり、*蒔放しと*針描を基調とした簡単で伸び伸びとした作風は、いわゆる高台寺蒔絵様式とされる。意匠は菊・萩・撫子・桔梗などの秋草が多く、写生的なものと菊や桐の紋などの図案風なものが組合わされ、靳新な意匠となっている。また対角線上に電光形に区切って対比的な美しさを表わした構図や、従来*地蒔に用いていた*梨地を文様に応用した*絵梨地なども、その特徴とされる。高台寺蒔絵の代表作は「竹秋草蒔絵手文庫」「秋草蒔絵歌書簞笥」「楓桐菊蒔絵薬味壷」。