古代塗(こだいぬり)
静岡県庵原郡蒲原町産と、高知市産の二種類ある。蒲原町の古代塗はブリキの切抜形を利用して、*錆で簡単な古代文様を描き、漆で粗雑な着色を施したものである。これは天保十年(一八三九)に仙台から来た仙智と称する者が始めた技法で、最初は仙智塗と称していたが、明治元年に仙智が没して門人が業を伝え、明治十一年より古代塗と改称された。一方高知市の古代塗は*錆下地の上に錆で古代文様を描いて全面に塗り、素銅粉が鉄錆粉をその上に蒔いて乾地とした変塗である。内部や模様以外の部分は普通の黒塗立で、蒲原町の古代塗とは趣が異なる。高知の古代塗は明治の漆工種田光助の門下の小栗正気と山崎信三が研究して考案したものといわれる。