木地蒔絵(きじまきえ)
*木材素地に部分的に*蒔絵を施し、全面には漆を塗らないもの。普通は地が汚れないように素地面に*錫金貝(薄い錫板)を貼って、蒔絵を施す文様部だけ切り取り、その部分に*錆漆をつけて金貝と同一面とし、蒔絵を施したあと金貝を剝ぎ取る。また別の方法として木地に卵白をひいて漆の滲み込みを防ぎ、蒔絵を施したあと全体を水洗いして卵白を い去る方法もある。一般に欅、紫檀、桜などの堅木の方がやりやすく、一度薄く*摺漆を施して、あとは普通の蒔絵と変りなく行える。これに対し桐や松材など柔かい木は、漆が木目に滲みこみやすく難しい。なお遺品はない文献によると、古く平安時代にすでに紫檀地に蒔絵を施したものが見られる。