素地(きじ)
漆器の形をなす器胎を素地という。素地の材料としては、古くから木材および竹が最も多く用いられている。これはごく身近にあって廉価で入手しやすいうえに、加工が簡単で*下地や漆液ののりもよいという性質によるものである。*木材素地はさらに工作法によって*板物素地(指物)、*曲物素地、*挽物素地、刳物素地に分けられる。竹材は素皮を剝ぎ、ひご状にして編んだもので*籃胎と呼ばれ、特にビルマやタイで用いられている。木材や竹の他には木型に紙を張り重ねた*紙胎(*一閑張)、牛や猪などの皮を用い木型によって型を抜いた*乾漆、金属を用いた*金胎、素焼のやきものを素地とした*陶胎、木粉と漆をまぜ型に塗った練物、あるいは合成樹脂の素地などがある。