金属素地(きんぞくきじ)
漆器の*素地に用いられる金属には鉄、銅、真鍮、アルミニウム、アルミ合金、亜鉛合金、錫などがあり、中国の古い記録によれば金や銀も用いられたという。これら素地に金属を用いた漆器を*金胎漆器と総称している。金属に漆を塗ることは相当古くから行われていたと思われ、正倉院文書に鉄に漆を塗って直火に当て、防錆の役割を果していたと記されている。金属素地の成形法には、溶解して成形する鋳造法や板金を円曲して造形する金などがあり、ことにアルミニウムの鋳物素地が狂いが少ない軽量素地として、戦後一時海外輸出向けに盛んに作られた。なおアルミニウムの場合は防錆処理としてアルマイト加工を施す。