蒟醤(きんま)
タイやビルマから産する漆器で、漆塗の面に文様を線彫りし、他の色の漆をうずめて研出したもの。その技法を蒟醤塗といい、中国においては*塡漆と称する。わが国では高松市より産する。*素地は多く*籃胎で、*漆下地を施し*下地、*中塗、そして*蠟色漆の*上塗を施す。その上に草花模様などを三角錐形の刀で彫り、緑漆を埋める。次に黄漆を同様にして埋め、最後に全体を研ぎ整えて仕上げる。なお蒟醤とはもともと 草の名で、インドやタイではその葉に檳榔子の実と石灰をくるんで嗜好品として嚙む習慣があり、その嗜好物を入れる器の製作法がいわゆる蒟醤塗である。つまり蒟醤入れが装飾法の名称に転用されたものといわれる。