カゼイン下地(カゼインしたじ)
*代用下地の一種で*カゼイン(酪素)を用いたもの。まずカゼインを微温湯で溶き、さらにアンモニア水が硼砂を少量加えて完全に溶かし、これに*砥の粉を混合して地つけを行う。乾燥後は表面にホルマリン液を塗って硬化させ不溶性にする。このカゼイン下地は東京工業試験所の*三山喜三郎の考案によるもので、カゼインは*渋のように酸化して褐色を帯びることがないので、*春慶塗の下地などに敵している。石川県の山中ではかつては*渋下地を用いていたが、今日では全面的にカゼイン下地に切り替えている。なおカゼインの溶解にアンモニア水を用いたものは夏期に腐敗しやすく、それに対し硼砂を使用したものは腐敗しにくいという傾向がみられる。