川連漆器(かわつらしっき)
秋田県稲川町川連産の漆器。製品は東北地方や近郊農山村を顧客とした堅牢な膳・椀・重箱・盆などの日用品が主である。*素地は丸物にはブナ材を用い、板物には朴や桂を使用している。*下地は川連独特の*油煙を用いない*渋下地で、また地塗付けと称する特有の*生漆の下地により、非常に堅牢になっている。歴史的には建久四年(一一九三)稲庭城主小野重道の弟道矩が、古四王野尻に館を築いたのが今の大館で、慶長年間(一五九六ー一六一五)に下館の士が内職に漆器製造を始め、万治年間(一六五八ー六一)には館主佐藤四郎右衛門が大いに奨励した。文化・文政(一八〇四ー三〇)になると高橋利兵衛という者が藩庁の許可を得て京都より材料を仕入れ、ますます発達した。天保年間(一八三〇ー四四)には会津の板物師桜田門兵衛が来て会津蒔絵法を教えた。さらに明治に入って二十四年には輪島より沈金師を招いて*輪島塗を習った。その後も東京より講師を招いて意匠・塗装・*蒔絵を講習し、現在は県が川連に漆器試験所を設けて、研究、発展に努めている。