懸盤(かけばん)
足高の膳。上古の時代には四脚の台に折敷をのせていたが、のち平安時代頃には上下作りつけて、漆を塗ったり*蒔絵を施したりして華美になり、貴族の食膳や儀式などに用いられた。現在する遺品としては豊臣秀吉が所用したと伝えられる、いわゆる*高台寺蒔絵の中の蒔絵懸盤が名高い。これは*金梨地に水辺の葦や桐紋を散らし、*高蒔絵、截金、金鈿などの技法も混えた豪華なものである。なお懸盤の脚部は複雑な曲面で構成されており、*下地を施すだけでも三十数種類の篦を使い分けねばならず、塗り物の中でも最も難しい物の一つとされていた。