一国斎塗(いっこくさいぬり)
広島市に伝わる漆器で、堆漆高蒔絵とも称する。桐材ないし紙を芯とした*張抜素地に*漆下地を施し、花草などを文様を漆で高く盛上げ、*彩漆で着色し毛彫を加えて摺漆を施したものである。その起りは江戸時代に元尾張の藩士で中村一作という漆工がいて、*堆朱・堆黒の技術を研究するため各地をまわり、やがて大阪で父の号であった金城一国斎を名のった。その後眼病をわずらって広島に赴き、その地の兼太郎という者を弟子にして技術を伝え一国斎の名を譲った。三代目一国斎はさらに研究を進めて、堆朱・堆黒の技術を極めると共に蒔絵法を取り入れ、漆を高く盛って各種の彩漆を塗る一国斎塗を考案した。なおその子紫明が四代一国斎となった。