福島漆器(ふくしましっき)
長野県木曽郡木曽福島町より産する漆器。今日はいわゆる*木曽春慶として名高い。古くは応永年間(一三九四ー一四二八)に木曽福島の八沢で漆器が作られ、元禄年間(一六八八ー一七〇四)にしだいに発達した。しかし享保年間(一七一六ー三六)に至ると、従来幕府領であった木曽地方は尾州徳川家の管領となって樹木の伐採を禁止され、八沢の漆器業者にのみ檜物手形によって許可されたが衰微した。明治に入ると再び栄え、当地の面桶が明治七年より陸軍の御用品に採用されたが、粗製のため明治十四年で廃止になり業勢も不振となった。その後業者は組合を作るなどして技術の改良と信用の回復に努めたが、かつての面影はない。