篦(へら)
漆工芸において*篦は下地付けや漆の練り合せ、*刻荢掻いのほか、種々の漆の取扱いに用いられ、材質も木、竹、金属、鯨のひげなどさまざまである。下地付け用の篦は*付篦と称し、水分を含んでも狂いの少ないことから檜製の篦に限られている。漆の練り合せに用いる篦は*合せ篦、刻荢掻いに用いる篦は*刻荢篦といい、共の弾性に富むニレ、チシヤ、マユミ材や竹材などの篦が用いられる。金属製には鉄や真鍮があり、*引篦や乾燥した漆容器の掃除などに用いられる。鯨のひげの篦は*鯨篦と称し、もっぱら*上塗の際に付着した漆をすき取るのに用いられる。なお篦は鉄製以外は市販品がなく、使う人自身がそれぞれの目的に合わせて使いよいように作る。