針描き(はりがき)
*蒔絵の一技法で、漆を塗った面に金粉や銀粉を蒔き、漆が乾かないうちに*鳥軸、針、竹篦などで引掻いて文様を描いたもの。葉筋や花弁の輪郭線などに用いられ、針描きによる文様を引掻絵ともいう。古くは正倉院の漆器に見られるが、中世においてはあまり例がなく、室町末期から桃山時代に復趣して盛んに行われた。特に*高台寺蒔絵は針描きと*蒔放しの代表的なものとして知られる。勢いのいい自由な線でのびのびと描けるのが、当時の時代気分にあっていたものと思われる。ただし針描き直しがきかず、一気呵成に勢いよく筆を進めねばならないところから、絵画の素養を要する。