粟野春慶(あわのしゅんけい)
茨城県水戸産の*春慶塗。延徳年間(一四八九ー九二)に稲川山城守源義明が考案し、その孫義忠の代に 村栗野に住んで春慶塗を業としたのが始まりとされる。弘化三年(一八四六)に藩主より栗野春慶塗の名称を与えられ、年々その製作を命ぜられたが、明治以後は著しく衰微した。今日では水戸春慶の名が一般的になっている。栗野春慶の特色は淡黄色で、*上塗の際に梅干の煎汁を*生漆に混合する点にあり、切溜、角盆、舟形茶盆など実用向の製品が多い。なお義忠の弟義次が能代に移って春慶塗を伝え、これが義*能代春慶の起りとなったという説がある。