青貝細工(あおがいざいく)
漆器面に*薄貝を用いて、種々の模様を散りばめたもの。薄貝蝶細とも称する。模様の作り方には切り抜き、打ち抜き、腐蝕の三種類がある。切り抜きの場合は堅木の板に薄貝を置き、直線は小刀で、曲線は蓮華ノミを使って押し切る。あるいは針先でも切れる。打ち抜きの場合は模様の形に鏨を作り、薄貝の上に当てて金槌で叩いて模様を打ち抜く。腐蝕法では、まず中塗研立面に*糊漆、膠漆などで薄貝を付着させ、漆で模様を描いたあと稀塩酸を塗布して模様以外を腐蝕させる。曲がりくねった複雑な輪郭の模様や、草書体の文字などの表現に、この腐蝕法は適している。いずれの方法でも模様の形に薄貝を付着したあとは、*蠟色漆を塗り、研出して*蠟色仕上げする。なお富山県高岡市において、卓類などに青貝細工が盛んに用いられており、多くは打抜法によっている。