漆芸技法

TECHNIQUE

加飾技法

髹漆(きゅゆしつ)

髹は「漆を塗る」という意味の漢字で、髹漆とは刷毛や箆で漆を塗る表現の専門用語である。大別すると下地、中塗、上塗の工程がある。完成品では、塗立てや呂色などに仕上げた滑らかな上塗部分しか見ることができないが、それ以前の塗っては研ぐという工程を数十回重ねる工程があるからこそ、堅牢で美しい塗肌ができあがる。黒漆、朱漆、透漆等の上塗りの地、数百種類に及ぶ変り塗等、難解で複雑な工程、多様なバリエーションをもつ。

蒔絵(まきえ)

日本独特の加飾技法。漆液で文様を描き、漆が乾固する前に金・銀粉を蒔きつけることから蒔絵と称する。蒔絵の技法には、蒔きつけた文様部分を粉固めして磨いだだけの「平蒔絵」、粉蒔き後に全体を塗り込めた後、文様が現れるまで平滑に研ぐ「研出蒔絵」、またあらかじめ漆・錆下地・炭粉等で肉上げしてレリーフ状に文様を表す「高蒔絵」などがある。

螺鈿(らでん)

貝の真珠層を切り抜き、文様とする技法を螺鈿と呼ぶ。螺鈿に使用される貝は鮑や夜光貝、他にも白蝶貝、黒蝶貝、メキシコ鮑、などがあり、加工法により厚貝、薄貝に分類できる。また中には貝の裏面に金、銀箔を貼ったものや彩色したものがあり、彩切貝として用いられる。象嵌法としては貝を下地に貼ってから漆で塗り込める塗込法と、文様部分を彫り下げて貝を嵌める彫込法がある。

平文(ひょうもん)

金や銀などの金属の薄板を文様に切り、これを漆の面に貼って全面を漆で塗りこめ、漆の膜を炭で研ぎ出して下の文様をあらわす技法。文様を剥ぎ出した場合は平脱と呼んでいる。研ぎ出したのち金属面に毛彫りをほどこす場合もある。

沈金(ちんきん)

漆塗面に沈金刀と呼ばれる刃物で文様を彫り、そこに漆を摺り込み、金銀箔、金銀粉あるいは彩漆顔料を充填する技法。凹部に金を埋める(沈める)ことから沈金と呼ばれている。線彫り、点彫り、片切彫りこるり、引掻きなどの彫法がある。

彫漆(ちょうしつ)

色漆を数十回ないし数百回塗り重ねて漆の層をつくり、文様を深く彫刻する技法で、彫った断面からその漆層が美しく見える。朱漆だけを塗り重ねたものを堆朱、黒漆だけを塗り重ねたものを堆黒というように、塗り重ね方による呼称がある。近年は顔料製法の発達により、多色の漆が塗り重ねられている。

蒟醤(きんま)

籃胎などに漆を塗り重ねてから、蒟醤剣と呼ばれる特殊な刃物を用いて線彫り・点彫り等で文様を施し、そこに色漆を数回埋めて研ぎ、文様を鮮明に浮き上がらせる技法。中国の填漆がタイ、ミャンマーに伝わり、更にわが国に伝来した。かつては黒、朱、黄漆が中心であったが、近年は彫漆同様、多色の色漆が用いられるようになった。

存清(星)(ぞんせい)

文様を色漆で描いた後、剣(存清剣)で文様の輪郭彫りや毛彫りを施す表現と、蒟醤技法を施した後、輪郭彫りや毛彫りを加える表現がある。存清は存星とも書かれるが、いずれも日本での呼称で、中国の名称は彫填である。名称の由来は諸説あるが、未詳。彫漆・蒟醤と共に高松を中心に技法が伝えられている。

堆錦(ついきん)

通常以上に熱を加えた粘性の強い堆錦漆を作り、鎚でたたきながら顔料を飽和状態まで混入し、堆錦餅と呼ばれる粘土状の色漆を作る。それをローラーで圧延し薄板に延ばしたものを文様に切って器物を貼り付け、硬化する前に、棒金やへらなどの小道具を用いて整形、装飾を施す。漆工芸の中でも特異な技法として現在も沖縄で生産されている。

卵殻(らんかく)

卵の殻の細片を用いて加飾する技法。器物等の細かな装飾表現には殻の薄い鶉の卵が使われているが、室内装飾等大きな画面には鶏の卵を使うこともある。

素地技法

木胎(もくたい)

漆工品の素地の大半の材料が木材によって加工されている。その技法により指物・挽物・曲物・刳物等に大別される。

指物(さしもの)

檜、桐、桧葉(档)等の木材を板状に加工し、組み合わせて、箱、棚、机等を制作する技法。板物とも称する。

挽物(ひきもの)

檜、欅、栃、桜等、使用される木材の種類は多い。轆轤を使用し回転させながら、同心円状の丸い形態の器を制作する技法。椀・盆・鉢等が作られ、量産が可能なことも特色である。轆轤を使わずに、木材を鑿や彫刻刀で彫り、自由に器物を成形する技法は刳物(くりもの)と称する。

曲物(まげもの)

檜、杉、桧葉(档)等の木材を柾目にそって割って作った薄板を曲げ、造形する。徐々に径を大きくした曲輪を積み上げて器物を作る場合もある。この方法は曲輪造りと称する。薄板を螺旋状に巻き上げて器物を作る場合は、巻胎と称する。

刳物(くりもの)

朴木地ともいいます。指物木地の中でとくに曲面の多い座卓や花台の足、銚子の口、スプーンなど、複雑な形を削りだす作業を専門とします。材料はホオ、カツラ、アテなどを使います。

籃胎(らんたい)

竹ヒゴを編み、成形した籠を素地とし、それに漆塗りの手法を加えたものである。竹材は弾性に富み、曲げに強い。また物差しに使用されているように温湿度の変化による狂いが極めて少ないため、薄くて軽くできるのが特徴である。

乾漆(かんしつ)

麻布と漆により胎を作る技法である。木や石膏などの型に漆で麻布を貼り重ねて望みの厚さにし、充分乾固したのち型から外してこれを素地とし、さらにその上に漆を塗り重ねて仕上げたものである。乾漆は自由な造形が可能で、軽くて丈夫な特徴を持つ。

紙胎(したい)

乾漆同様の技法で、麻布ではなく和紙を漆や糊等で貼り重ねる。軽くて丈夫であり、和紙肌を見せて仕上げるのが特徴である。

漆皮(しっぴ)

木型に一枚のなめしていない牛皮や鹿皮を張って乾燥させたのちに型を抜き取り、それに布着せしてから漆を塗って固めた技法である。型さえあれば複製が容易で、その型を工夫することにより自由な造形も可能である。軽くて丈夫であり、正倉院宝物の「箱」と名のつく約半数は、漆皮製である。

金胎(きんたい)

金属の素地に漆を塗ったものをいう。金胎は、大気の乾湿や気温の高低によって素地が狂ったり破損することなく丈夫である。また、金属は他の素地に比べて成型が自由な利点がある。金属の種類としては、金、銀、銅、鉄等もあるが現在ではアルミニウムを化学処理したものもある。

陶胎(とうたい)

陶磁器の釉薬をかけずに焼成した素地に漆を塗ったもの。現在はあまり用いられていないが、木胎、籃胎等と共に、土器に漆を塗った器物は縄文時代から作られている。


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